叡福寺清子

ファーザーの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
3.7
認知症をテーマとした作品は数多ございますが,患者視点で描いた作品というのは稀有じゃありませんか.こんばんわ.三遊亭呼延灼です.
希少な理由は支離滅裂になるから,でありましょう.昨日と今日で覚えていることが違う,なんなら5分前に言った事すら覚えていない.そんな人物を描いちゃあ筋なんてもんは成立しませんわな.でも,そーゆーもんだから,そこんとこ理解して観てねって言っちゃえば良かったわけでございます.大袈裟な言い方をするならコロンブスの卵.目から鱗でありました.

そりゃ私みたいに事前情報ほぼ皆無で,視聴いたしますと戸惑いますよ.あれ?痴呆の話じゃなかったけ?アンと違うアンが出てきて,ナニコレ珍百景??ってね.でもだんだんと,色々わかってきます.例えば娘のルーシーがすでに他界していること.でも分からないこともあります.腕時計への拘泥.食事はいつもチキン.結局誰の家に住んでいたのか,もしくは住んでいなかったのか.
でも,認知症ってそういう病気なんでしょうね.そして段々と自分がわかっている事が少なくなっていって,そのうちわかってないことすらわからなくなって,全部わかっていると思うようになること.もっと言っちゃうと,最後には自分がわからなくなる.切ないですねぇ.周りは辛いです.泣いちゃいそうになります.アンが首を絞めるシーンがありましたが,かれんさんがボケたら,心中しちゃうかもしれません.私がボケたら,温かい海に沈めてくださいね,かれんさん.日本海とかやですよ.なんで死んでまで,寒い想いしなきゃなんねぇんですか・・・えっ!?ちょっとずつ喰ってやるですって.タッハー,そりゃおもしれ・・・でも消化できねぇから大便になってそのまま下水に・・・ダメですダメ.喰っちゃダメです.やっぱあったかい海に撒いてください.それが一番です.