タカ

キネマの神様のタカのレビュー・感想・評価

キネマの神様(2021年製作の映画)
3.7
カットとカットの間に宿る神様

幸せにできるできないじゃなくて
私が幸せにする
そんな決意で追いかけたあの日
追いかける後悔と追いかけない後悔
どちらにしても後悔が付き纏う
振り返るとそんな後悔は結局なかった
酒にギャンブルに溺れて
何かから逃げているあなた
忘れられない夢からも
家族からも
すべてから逃げる
それでもあなたには映画がある
助監督として夢を追いかけたあの頃
今までにない映画を作ると息巻いたあの頃
スクリーンの中にはあの頃のあなたがいる
50年前に巡り会った"キネカの神様"
神様が奇跡を起こして
贈ってくれたのは50年分の感謝のことば

"映画界に元気があった頃"
劇中ではそんな風に言われていた
『東京物語』が撮影されていた頃というと1950年代となるわけだからその頃のお話
となると現代パートが2020年という設定はゴウの年齢から考えると辻褄が合わない
ちょっとコロナ禍を意識しすぎてる時代設定かなぁと思いつつも志村けんさんのことを思うと致し方ないのかなという思いもある
それにコロナ禍で踏み止まろうとするミニシアターを描くのは意味あることだ

もう少し観ていたかった過去の姿
ゴウと淑子とアラシンの三角関係、園子との交流
必要最低限に収まっていたような気がする
ゴウが才能の限界を感じた葛藤
夢を投げ出してしまった思い
そこのところはもっともっと掘り下げて欲しかったな
どう見ても突発的に投げ出してしまったようにしか見えない
台本にびっしりとした書いたメモなど努力の過程が見えないから感情移入しにくい
あとはお話のメインポイントが2人の関係と絆だから、撮影所より後の苦労とそもそも淑子がゴウを追いかけて合流したところ
それを観たかった
そこがあれば後半もっと感動できた気がする

映画を観たまま…
やっぱり神様はそこに居る
タカ

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