さすが山田洋次、手堅く作っている。映画愛みたいなものも感じる。山田監督の見聞きしてきた邦画界のさまざまな記憶がコラージュのように埋め込まれているようでもある。
ただ、それが一本の映画として昇華されているかといえば、そこまでの密度はなかった。
志村けんの代役に立った沢田研二は「志村けんならばこう演じただろう」という演技をする。これが演出だったら、さすがに沢田に気の毒ではないか。だってさいごに「東村山音頭」唄わせちゃうんだよ?
菅田将暉も、永野芽郁も、北川景子もいい。山田監督は永野芽郁に「馬鹿ぁ。鈍感」と言わせたかったんだろうな。
前田くんもいい味出していた。
ゴウちゃんのシナリオのアイデアは、ウディ・アレン「カイロの紫のバラ」、およびその元ネタであるバスター・キートン「キートンの探偵学入門」からの引用。