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キネマの神様のskynetのレビュー・感想・評価

キネマの神様(2021年製作の映画)
3.9
序盤はギャンブルとアルコール依存のどうしようもない老人の貧乏くさい話で、ハズしたかとの思いがよぎったが、老人が映画を観るシーンから映画制作を志していた若い頃の回想シーンに切り替わると、役者も一転して熱気あるドラマへと切り替わった。

この青年時代が良い感じで、主人公が働いている撮影所の熱気や、主人公を囲む仲間の関係性も良い。
主人公はオリジナルの脚本を書き上げていて、いつか自分が監督になって映画にしたいと夢に描いているのだが、やっと実現となった時に、あるアクシデントから撮影は中断となり今の堕落状態に至る。

若い時の仲間でお互い想いを寄せていた料理屋の娘が、周囲に反対されながらも挫折した主人公を追って奥さんになってくれていたり、撮影所の一番の親友だった男が、夢を叶えて名画座の経営者になっていたりして主人公を支えているのが涙ぐましい。
そんな中、ダメな主人公もあることから再生するのだが、そう来たかぁと感心するストーリーで素直に良かったねという気持ちになれた。
人間、自信を失うとダメになってしまうけど、少しでもプライドを回復できると心の持ちようが変わって再生できるものである。そこからのエンディングも綺麗にまとまっていたと思う。
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