コーカサス

キネマの神様のコーカサスのレビュー・感想・評価

キネマの神様(2021年製作の映画)
3.6
松竹映画100周年記念作品。

思えば1986年に同監督が撮影した『キネマの天地』は、松竹大船撮影所50周年記念作品であった。
そして松竹映画100周年、満を持して祝うべきはずが、まさかの新型コロナウイルス感染拡大のため二度の延期、更には主役を務めるはずだった志村けんの急死といった悲しい出来事が度重なるなど、誰が予想したであろうか。

そこで生前、志村と交流があった沢田研二が代役として『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』以来38年ぶりの山田組参加となるのだが、あまりにも志村を意識した沢田の芝居が気になり些か残念。
これでは益々、志村の演じるゴウを見てみたいと思わせ、その早過ぎる死が悔やまれる。

「カットとカットの間に神が宿るんだ。映画の神様が―」
そんな劇中の台詞を借りるなら、カットとカットの間に俳優・志村けんが宿っていたと思うのは私だけではないはず。
それは彼ならではの置き土産とも云えるだろう。
何故なら、彼ほどキネマと笑いの神様に愛された人間はいないのだから。

82 2023