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ライド・ライク・ア・ガールのkenのレビュー・感想・評価

4.4
劇場で予告編を見た瞬間に必ず観ると決めていた。オーストラリア競馬界の最高峰メルボルンカップ154年の歴史で、女性騎手が2015年に史上初の栄冠を掴むまでの半生を描いた物語である。その事実を知っただけでワクワクした気分になった。

主人公ミシェル・ペイン(テリーサ・パーマー)は、父親パディー(サム・ニール)が調教師で兄弟達も騎手という10人兄弟の末娘として生まれる。母親を交通事故で亡くし、父親が主夫もしながら自由奔放な子供達を育てる。そして、ミシェルも兄姉と同様に騎手の道を選ぶのだが…。

ミシェルはあるレースでの落馬により、誰もが選手生命が終わったと思われる程の大怪我をする。しかし、不屈の精神でリハビリを重ねてカムバックする姿には感銘する。常に上を目指して努力を積み重ね、挑戦し続けることで夢を叶えるチャンスを掴み取るのだ。

ミシェルがレストランに乗り込み、馬主と調教師に熱い思いを言い放つシーンが最も好きな場面となった。実はこのシーンでは思わず身を乗り出して、心の中で大きな拍手を送った。そこから、クライマックスのメルボルンカップが終るまで、ずっと高揚した気分で応援し続けたことは言うまでもない。レース直前にゲート内で亡き母と姉に祈る言葉が心に響いた。
Stay with me! 私と一緒にいて!

ミシェルには小さい時から仲の良いダウン症の兄スティービー・ペインがいる。2人が互いを理解しあって思いやる気持ちが優しくて素晴らしい。お互いが人生になくてはならない存在となり、強い絆で結ばれていることも自然と感動を覚える。

テリーサ・パーマー、サム・ニール、そしてスティービー・ペインの熱演に心からの拍手を送りたい。ミシェル1人の力で栄冠を成し遂げたのではない。調教師と支えてくれる家族(特に、父親の厳しくも的を得た教えと心の支えとなる兄の存在)、そしてサポートしてくれたファンの後押しも忘れてはならない。ミシェルの諦めない熱意を受け入れた調教師ダレン・ウィアーの判断にも感激した。
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