YasuyukiMuro

福島は語る 完全版のYasuyukiMuroのレビュー・感想・評価

福島は語る 完全版(2018年製作の映画)
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原発事故による放射能汚染で故郷を追われた十数万人の被災者たち。その傷は今も癒えることなく疼き続ける。土井監督が4年間に渡って100人を超える被災者へインタビューを実施、その中から選び抜かれた27名の証言に耳を傾ける魂の5時間20分(170分の通常版は未見)

監督が、原発や事故そのものに対する発言は極力除いたと言うように、この映画では事象ではなく徹頭徹尾「人間」が描かれる。直接的な反原発・政府批判ではなく、27人の故郷への想い、苦悩や葛藤、怒りや悔しさ等、彼らの気持ちに徹底的に寄り添う、、、彼らの生の言葉には、マスコミや政治家、学者からは決して得る事の出来ない真実が宿っていて引き込まれ方が半端じゃない。

知らない事が沢山あった、、、というか何も知らなかったんだとさえ思う。

補償有無による分断や中傷
3月11日の黙祷で思う事、
出身地を言えない子供たち
故郷で農業を続けたい想いや葛藤
全てを失った父親の無念、、、

じっくりと時間をかけ絞り出される言葉の数々。その重みで、映画を見終わってから1週間近く経つけど未だ気持ちがざわついて、27人の方々に想いを馳せてしまう。

原子力の平和利用をうたうIAEAを筆頭とした国際原子力ムラ、、その利害はあまりに巨大、それでも声を上げるのは人間の尊厳をかけた闘いだから、、、

現在進行形の福島を『復興五輪』などとキャンペーンに利用するのもどうかと思ったが、既に『新型コロナ克服五輪』に変わろうとしている事には呆れて物が言えない、所詮キャッチーなフレーズが欲しいだけなのか。

まぁそんな上辺の話は置いといて、、、機会があれば、是非観て、そして感じて欲しいドキュメンタリー映画です。
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