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第三夫人と髪飾りのYasuyukiMuroのレビュー・感想・評価

第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)
3.9
19世紀の北ベトナムの山村。養蚕を営む名家に14歳のメイは第三夫人として嫁ぐ。そこには第一夫人とその息子、第二夫人とその娘たち、その他多くの使用人、皆が共同で暮らしている。メイフェア監督の曽祖母の実体験を元にした物語とのこと。

一夫多妻、今の日本とは異なる価値観ですが彼らにとっては代々続く社会習慣。疑問に思うことすらない。夫人同士は歪み合うどころかお互いが助け合いまるで大きな家族のよう。第二夫人やその娘たちと川での沐浴しながら笑い合う姿などは、美術監修トラン・アン・ユン効果もあってかただただ美しい^_^
とは言えそこには結婚相手を自分で選べない苦悩や、男子の出産を求められる重圧、更には出戻りが許されない厳格な風習などもがっつりあり、、彼彼女らの心のどこかに残るわだかまりが静かに描かれています。20世紀以降徐々に世界に広まる人権の意識。その萌芽のさらに前夜という感じでしょうか。
悠久の自然の中で生きる人々の人間性や生や性を、言葉にせずひたすら映像でみせます。その生々しさに人も動物の一つに過ぎないと思い知らされつつ一歩前進しようとする微かな光、、、メイフェア監督は弱冠30代の若さでこの作品を撮り、世界的に評価されたというも納得です。
ただ本国ベトナムでは公開4日で打切りになったとか。主人公メイ役の女優は撮影時設定より更に若い13歳、この若さで際どい役をさせたことにネット上で批判が殺到したらしい。。正直彼女のシーンで直接的なものはなかったと思うし個人的には過剰反応な気もしましたが、、、
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