空海花

RUN/ランの空海花のレビュー・感想・評価

RUN/ラン(2020年製作の映画)
3.8
先ほど間違えて投稿してしまい、削除しました。
いいね・コメントなどくれていたら申し訳ありません🙇
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『search サーチ』のアニーシュ・チャガンティ監督と製作チームによる新作。

不整脈、血色素症、糖尿病、喘息…
病名の説明が文字で並ぶ。
どれをとっても“走る”ことができない。
上記は主人公ダイアン(サラ・ポールソン)の娘クロエ(キーラ・アレン)が抱えている病気。
更に彼女は両脚が不自由で車椅子で生活している。

前作はネット検索の鮮やかな手際がお見事だったが、今回は一転、オフラインの世界である。
クロエは学校へは行かず家庭学習、
スマホも持たされず、ネット検索はリビングの母親が居るスペースのみ。
お菓子のチョコも考慮した食事管理はすばらしいなとは思うけど
いささか過保護過ぎじゃないか、という違和感。
心配するのも当然かと一見普通を装っておいて、
この閉ざされた状況とそれは同列ではあり得ない。
この違和感は徐々に強く演出されて面白い。

環境と行動が制限された状況で、展開していくストーリーに釘付け。
前回は父親の愛が状況を打破するが
今回は母親の偏執的な愛が障害となる。
サラ・ポールソンのサイコっぷりや
最後に至る表情までしっかり見応えがある。
何より今回初めて観たキーラ・アレンの演技が大変良く
切迫感、緊張感、絶望感、恐怖に慄く表情をしっかりと見せ、
脱出を試みる姿勢や行動には、驚きと共に全力で応援してしまう没入感もある。
彼女は実際に高校生の時に、車椅子が必要な生活になったとのこと。
その扱いや身体能力の高さにも驚く。

劇中、母親の過去を思わせる描写はあるが、ストーリーには含まれない。
だが実はバックストーリーはあって、
監督はサラとそれを共有していたそう。
気になるけど、直接入らないという演出がニクい。
オマージュもいくつかある。

そう、これは前作の新しい感じではなく
もっと古典的で、伝統的で、
懐かしいスリラーを観ているような喜びが込み上げる。
不自由さを支障としつつも頑張る姿にはカタルシスを感じる。

あまり詳しく書くと怒られそうなのでなるべく控えるけれど、
ラストのゾワゾワ感が最高!というのは特筆したいところ。

最後のタイトルまで良かった。


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