Bitdemonz

ビバリウムのBitdemonzのレビュー・感想・評価

ビバリウム(2019年製作の映画)
4.5
全てが謎のまま放り出される不条理に満ちたSFという見方も出来るが、全てが意地悪く誇張されたブラックユーモア溢れる人生の縮図と捉えれば納得出来なくもない。それでも納得出来ないとすれば、「人生とは何か」の意味が見出せない事に似ているから、なのかもしれない。

均一的で澱みのない閑静な住宅、シンプルにパッケージングされた癖の無い生活様式は、あくまでも誇張されてはいるが、確かに俯瞰してみると世の中は確実にその方向に進んでるようにも思えるし、目に見えぬ「何か」に誘導されて行動を促されている事実はマスコミやインターネット広告の表示ひとつにしても明白だと思うので、あながち絵空事だと笑ってもいられない。
まぁ子供のくだりに関してはホント意地悪い誇張だとは思うけど(笑)

映像はその誇張部分が気持ち悪いくらいに良いビジュアルとして作用しており、とても心地よい(悪い)非現実感が楽しめて個人的には最高でした。


何のために切磋琢磨して人々は墓穴を掘り続けるのか、世間の言う「幸せな暮らし」は本当に自分にとって正当なのか、その意味を考えるキッカケを与えてくれる反面教師的な作品である、と考えたい。

とりあえず、みんな生きてる以上どちらにせよ墓穴は掘ってるワケなので、どうせ掘るなら好きなカタチにこだわって掘ってみたいと思いました。
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