ゆきえ

セイント・フランシスのゆきえのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
4.8
社会に仕掛けられた罠から解放してくれる映画。

34歳独身、定職につけず恋愛も真剣に向き合えずうだつが上がらない日々を過ごしていると感じているブリジットがレズビアンカップルの娘のフランシスのナニーをすることに。

生理、妊娠、中絶、産後うつ、同性婚etc...
女性の方が圧倒的に感情移入する描写が多いけれど、これは男性にも是非観てもらいたい。
響かなくてもいい。感情移入しなくてもいい。
ただ知ってくれるだけで救われる。
(勿論、知った事で思考を巡らせてくれたらもっと嬉しい)

生理は女性にとって日常的なことなので
明るくファニーに描いてくれたのが凄まじく好感。
全てを重く受け止めていたら
こちとら生きていけないんですよ。
男性に生理の話をするのはタブーみたいな風潮もなくなったらいいな。

ブリジットを妊娠させた26歳のジェイズと
ギター教室の歳上講師との対比も良かった。
血に対しての二人の反応の違いがとても印象的。
ブリジットが歳を気にして向き合おうとしないだけで、成り行きの関係だったのにも関わらずジェイズはずっと逃げずに彼女のことを思って彼なりに行動してくれてたように思う。
歳上の方が大人で素敵とか、
歳が離れてると上手くいかなそうって言う
よくある思い込みを崩してくれるのブラボー👏

女性の身体の問題だけでなくて
価値観の違う人間同士の衝突や無意識に傷つけ合っていることも描かれてて
そこに純粋な6歳のフランシスちゃんが介入することで浄化してくれる。
正に“セイント・フランシス”

ラストはフランシスちゃんが愛おしくて
堪らなくて号泣してしまった。

ドストライク過ぎて初見の2日後に友人を誘って再鑑賞しちゃいました。
一緒に鑑賞した人生の先輩の経験談を聞いて胸が熱くなったり、
定期的にやってるZoom感想会では
男女で妊娠や中絶や生理のことについて議論したりと貴重な時間を共有するきっかけにもなった映画でした。

もっともっと沢山の人がこの映画を知ってくれますように!

ハリポタの重大なネタバレがあるので
その点を考えると安易にお薦め出来ないのだけがネック😂(主人公のリアクションめっちゃ面白かったw)
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