ゆきえ

ミューズは溺れないのゆきえのレビュー・感想・評価

ミューズは溺れない(2021年製作の映画)
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こう言う良質な青春もの、定期的に下さい!!

夢も恋愛も最初は純粋に好きなだけだったのに好きだからこそどんどん自由じゃなくなっていくのって苦しいですよね…。

私も絵を描くのが好きな学生時代だったので
才能溢れる人を目の当たりにして
描くのをやめたくなる気持ちはめちゃくちゃわかります。

“溺れた朔子”の絵を描いた西原の才能も凄いけれど、これを思いついた監督さんのセンスも凄くないですか?
何より溺れた朔子役の上原実矩さんの演技が上手すぎて正にミューズだったので
『ミューズは溺れない』ってタイトルもセンス抜群…。

朔子と西原と栄美。
全然違う3人なのに全員の葛藤に共感や懐かしさを感じる。
色々な“好き”が描かれる作品が増えたけれど
“好き”がわからない人も沢山いて
そこの苦悩も描いていることにグッときた。
3人が影響し合ってそれぞれに劣等感を抱いていて、このチグハグのようでバランスの取れた関係性がなんとも学生らしくて好き。
ちょっと軽いタッチで関わってくるSF研の存在感も絶妙。

家族の関係もなんとも言えない居心地の悪さで
…思春期にあれはめっちゃ辛い!
色々あってからの電話のシーンの朔子ちゃんが素晴らし過ぎて一気に上原実矩さんのファンになりました。
今後が楽しみすぎる女優さん✨

なんかもう色々良すぎて悔しくなる映画でした。
そうそう、“悔しい”って感情が根底にあるのが感情移入させられたポイントだなぁって思いました。
みんな、自分じゃない何かになりたいって思ってるけど、本当は自分のままで何かになりたいんだよね。
そして、自分では受け入れられない自分を
認めてくれる人がいることで救われる。

最終的にはとても晴れやかな気持ちになって
監督の他の作品も観てみたいなぁと
思ったらこれが初長編映画なんですね!😳
次回作も楽しみにしてます✨

あともう一つ、
自分の絵を先生がアドバイスとして
勝手に描き変えるのめっちゃヤダ!笑
ゆきえ

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