ひろゆき

セイント・フランシスのひろゆきのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
3.8
銀幕短評(#663)

「セイント・フランシス」
2019年、アメリカ。1時間41分。

総合評価 76点。

この映画は世評が高いので 楽しみにしていました。ジャケット写真、ソフィア・コッポラの「SOMEWHERE」の生き写しですね、いいセンス(パクリ?)だなあ。と思ったら、中身はまったく別もの系の映画でした。遅まきながら “成熟したおとな” への成長期にあるかないかのブリジット(34才)と、彼女が子守りをする 文字通り成長盛んなフランシス(6才)の、ひと夏のものがたり。

あああ よくあるタイプのハッピーエンド系のはなしね。そう思ったけれど、かんたんな紋切り型では 決してなかった。ひとまずブリジットの経血がでる。何回も出る。どこでも出る。妊娠中絶の出血も出る。これはつらい。それでなくても おんなは大変なんだ。こんなこと(といっては叱られますが)だけでも、気持ちがブルーになるんだ。と、再確認させてくれる。とてもうまい作りですね。

花火の夜のやりとりはよかったなあ。わたしは4年間 アメリカ ミシガン州のデトロイトに住んでいましたが、かれらの気持ちは なんとなくわかる。アメリカ人は じぶんの考えをひとまずは堂々と主張する。どちらが正しいか正しくないかを競うわけでは、かならずしもない。ひと同士の考えのちがうことについて、日本人のような抵抗感をもたない。そんなことは あたりまえだと受け容れる。なにせ幼稚園のうちから自主性 自立心 と学校で教育して、それらを刷り込む国ですから。この国民性はときに吉とでるし 凶ともなる。しかし、わたしは基本的に好きです。だって なあなあでうやむやにしないで、より深く理解しあえるじゃないですか、互いに。自分の行動パターンが すでにそうなってしまっていますし。

「ただ想像しただけ」というブリジットの母のことばは正しいなあ。娘を あたたかくハグする。そのシンプルな たったひとことが、彼女を おおきく後押しする。それを母は 母性で知っている。

じぶんを愛することの大切さについては、「アイ・フィール・プリティ」の回で 持論を書きました。“自己肯定感”。さいきん流行りの そういう軽い いい回しに わたしはいささかの抵抗を感じます。それとはすこしベクトルのちがう、じぶんを愛する心、これは何よりだいじです。自己愛は ことあるごとにチェックする必要がありますね。じぶんを正しくケアしないと、しあわせになれないから。
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