さよこ

まともじゃないのは君も一緒のさよこのレビュー・感想・評価

5.0
【主人公の愛すべきキャラクターぷりが良い】
目黒シネマで前田弘二監督作品の二本立て✌

🥂全体の感想
テンポがめちゃくちゃ良い。どんどん進むし、それでいて主人公たちの関係性や心の変化は繊細に描かれているし、とてつもなく好き。予備校の先生が強気な女子高生にけちょんけちょんに言われっぱなしの構図も良い。女子高生特有のあの無敵な感じがとても好き。

🥂脚本
空気の読めない主人公は"普通"にならなくても、今のままで十分魅力があるところが描かれていで良かったし、じゃあ世間一般がいう"普通"の人たちが人間として優れているかというとそうではないし、みんなそれぞれ何かしらの欠陥を補いながら生きている感じがとても良かった。あと主人公との関係性がどんどん変わっていくのも好き。

🥂キャラクター
成田凌が演じる主人公は、自分が嘘をつかないから他人も嘘をつかないとでも思ってそうな盲信っぷりがとても可愛い。台詞をオウム返ししたり、どういう意味?て聞くのは相手(人間)を知りたいっていう欲求の表れなんだよね。とても好き。

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⚠️この先、ネタバレあります⚠️
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🥂成田凌の人たらし
人の気持ちが分らないゆえに、何かを伝えるのに言葉を取り繕ったりすることがなく、彼から出てくる言葉が全部ホントに思ってることなんだなって思うと、あまりに根が良すぎて、むしろ人たらしの才能に溢れてるんじゃないかと思う。失礼なことも言うけど、それ以上にこんなストレートに面と向かって想いを伝えられたら誰でもくらっとくると思う。

🥂成田凌が最高すぎる
「キミが必要なんだ」
「駅まで送りますよ、まだ一緒にいたいし」
「美奈子さんと同じ匂いがして、あなたのことを思い出していました。香水ですか?」

🥂ハイスペ女子
ただのご令嬢ではなく仕事もサポートできる才色兼備な感じがとても良かった。主人公が惹かれるのも合点がいく。主人公はこれまで話をしている最中に「それはいいから」て、ピシャっと突き放されることが多かっただろうし、彼女みたいにどんな話題にだって興味を示してくれたら、そりゃ伸び伸び話せて楽しいよね。たぶん主人公と彼女は同じくらいの知的好奇心を持っているんだと思う。興味がある話題だとか、IQがどうだとかじゃなくて"知識"という共通点さえあれば会話は成り立つんだよね。はーーー好き。

🥂好きな台詞
「いいですね。これからがとても新鮮で」
綺麗で素直で性格が良い👏

🥂恋の駆け引き
ご令嬢が、本屋さんで主人公に気付かないフリをしたのはあえて向こうから声を掛けさせる戦法で、これまでモテてきた王者感があってとても良かった。きっと美奈子さんの周りにはハイスペ男子がたくさんいて、なんとなく話題は"俺のアピール(自慢話)"が多かったと思うから、主人公みたいに世間知らずで、自分の弱さを認める、飾らない人は少なかったと思うからとても新鮮に映ったと思う。二人はお似合いだったのになぁ。

🥂名言の数々
「普通なんかどうでも良い。君はどうなんだ。僕は君を傷つけたあの男を許せない…!」
「恋じゃなくて憧れに近い。自分がそうなりたいと思ってる」

🥂その他いろいろ
・小泉進次郎の小物感が良かった。
・タバコのシーンが振りになってて良かった
・初登場シーンのご令嬢は仕事モードでテキパキしてて格好良かった。
・酔っ払い仕草がとても似合う
・カラオケ行くの普通にデートじゃん🤭
・同じ台詞の講演会。覚えちゃうよね。
・高級スーツに手ぶら
・高級スーツにトートバッグ
・予備校で謎の白衣。似合う。好き。
・タクシーを見送るときの手の振り方が可愛い
・バーのみんな久しぶり!前田組!
・指摘をせずにいつの間にか人が離れていく…という台詞はASD持ちには突き刺さる台詞🥲
・予備校で"肉体関係"を連呼するのはよして😇
・どういう感情?が成田凌だと嫌味にならない。

【余談】
前田監督作品を今回初めて観たんだけど、『こいびとのみつけかた』を観てから『まともじゃないのは君も一緒』の順番で観て正解だった。監督の系譜が分かるというか。原点回帰みたいなものを見た気がする…と、ここまで書いて『こいびとのみつけかた』のほうが新作だったみたいで驚いた。全然原点回帰じゃなかったや。適当なことを書いてしまった。
2本ともキャスティングが被っている分、続けて観ると"もう一つのあり得たかもしれない世界(パラレルワールド)"のように思えて、なんだか楽しかった。観た順番によって見え方は違えど、不器用だった主人公は同級生の彼女がいて青春してるし、人の気持ちが分らない彼は理解ある彼くんに生まれ変わっている。このキャスティングの妙も相まってとても面白い作品だと感じた。この2つを同時上映する目黒シネマさんのセレクトがすてき👏
さよこ

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