想起したのはイギリス映画『家族を思うとき』だった。
働いても働いても我が暮らし楽にならざる宅配便の運転手と、介護サービスで疲れている妻と荒れる息子など家族を描いたケン・ローチ監督の映画だ。
国による福祉の限界と問題を暴いていた。
かたや、こちらは国の「認可」がなくても「何とかする」を口癖にして、自閉症児やドロップダウンした若者を受け入れている主人公らの姿を映し出す。
何が問題なのか。何が大切なのか。
「自閉症」という診察名や、症状や改善のための投薬・治療でなく、ましてや矯正でもなく、人としてあたりまえの「思いやり」こそ大切なのだ。
この映画には、ユダヤ教徒もイスラム教徒も一緒にいる。「世俗主義」が強い国なのに、そうしているのは監督ら制作スタッフの意図があるのだろう。
その違いも興味深く、おもしろかった。