叡福寺清子

5月の花嫁学校の叡福寺清子のネタバレレビュー・内容・結末

5月の花嫁学校(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

1960年代.フランスにあっても良妻賢母が美徳とされ,良き妻賢き母となるための家政学校が各地にあったそんな時代.今年もヴァン・デル・ベック家政学校に,10代後半の18人の女子が入学してきました.厳しいカリキュラムが進むある日,ポーレット校長の旦那が急逝.学校経営に直接関わるようになった校長は,旦那に多額の借金があり,学校が破産寸前であることを知ります.おりしも,五月危機目前のフランス.ポーレットさんの意識も,徐々に変化が・・・

その変化のきっかけとなったが,元カレとの邂逅というから,さすがは恋の国おフランスでございます.こんばんわ.三遊亭呼延灼です.
冒頭の入学式で良妻賢母の鉄則7か条が語られますが,これが中々に凄い.今ならツイフェミのよる大炎上必至で,学校は即閉校になること必至.
でも,元パルチザンのシスターはともかく,ポーレット校長とその義妹ジルベルトさんは,その時代の価値観に囚われていただけ.主義者ではなかったので,わりとあっさり意識が変化し,ややもすれば鼻白む事態でもありました.だって,元カレに誘い出されたポーレット校長が「ダメよ,私には旦那(亡くなってるけど)がいるの」と口では言いながら,女学生みたいにはしゃいじゃってるんですもの.なんじゃ,そりゃ!!ってなりますわな.どこの安物メロドラマっすか.

あっさりといえば,学校の破産危機も,信託銀行の担当者が元カレってことで,なんかいつのまにか解決してました.そこは作品的に重要じゃないんでしょう.
そう,本作にとって最重要だったのは,エンディング.つまり校長と生徒による行進と歌だったのですね.それはまぁ結構な話でありますが,あまりの突然の変化っぷりに,呼延灼戸惑いました.つい先日まではスカートではなくパンツを履く事が,大冒険だったのに.

なお作中に「パリはいつまでもパリ」という台詞がございましたが,まさか半世紀後に移民によってパリがスラム化するとは想像もできなかった事でありましょう.合掌.