夢生

写真の女の夢生のレビュー・感想・評価

写真の女(2020年製作の映画)
3.2
現実と虚構の狭間の曖昧な感情を浮遊する女と、
決められた日常を淡々と生きる男の物語。
人は欲しがる生き物だ。
自分を見てもらうために、誰かが求める何かにならねばと焦る気持ちと、
レタッチによって作り上げられた写真の中の理想の自分を、
本当の自分だと自己暗示にかけ安心する女。
他人の目を通してでないと自分を愛せないSNS依存の自己承認欲求が招いた悲劇。
蟷螂の雌が交尾の後、雄を食べてしまうその行為に、かわいそうと言った彼女に、台詞のなかった男が最後に発する言葉が深いのです。
登場人物も台詞も少ない分、音が誇張されて耳に残ります。
写真をレタッチする時のペンを擦る音クリック音、蟷螂の咀嚼音にゾワゾワしました。
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