柏エシディシ

ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたちの柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
ロックに限らず、音楽が好きな人間なら全員、観るべき。
素晴らしきドキュメンタリー。

リンク・レイ、ロビー・ロバートソン(ザ・バンド)、ジミ・ヘンドリックス、ジェシ・エド・デイビス、ランディ・カスティーヨ……今まで、彼らの音楽を聴く時に恥ずかしながら、彼らのルーツにお想いを馳せることが無かった。
しかし、確かにそこに息づく葛藤と苦難と、それに抗う誇り高さ。
今なら、それに気づくことが出来る。

ポピュラーミュージックの根底にブラックミュージックのエキスが脈々と生き続いている事は、周知の事だとは思うけれど、インディアン(この映画のスタンスに則って、敢えてこの呼称で。)の音楽が実はアメリカの音楽の歴史の中でも重要な役割を果たしてきた事を見逃していた事に多くの方が気付かされるだ。

音楽に限らず、文化や伝統を踏みにじられ、存在すら忘れられていく……ホロコーストと並ぶ人類の歴史上、最悪の所業がかつて行なわれ、そして意識的若しくは無意識的に今なお、それは続いている。
私たちも無知である限り、その事に加担しているのだと、胸に刻みたい。

映画も勿論そうだけれど、音楽やアートの存在は、もちろんエンターテイメントである訳だけれど、それに限らず、時間や空間を越えて、本来ならば分け隔てられた感情や思惑に共鳴する為に、必要な人類の叡智であり、発明でもあるのだ。
映画観続けて、音楽を聴き続けていきたい。
柏エシディシ

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