凄い。予測不可能な豚探しの旅路。
見つかったものは果たして…
森で暮らす孤独なトリュフハンターのニコラス・ケイジの飼っている豚が奪われ、探しに行く物語。「マンデイ 地獄のロード・ウォリアー」以来のニコラス・ケイジ復活祭。彼の名演が光る。
絶対にジョン・ウィックやランボーみたいなリベンジ話になると思いきや、全く予想外の展開を見せる。途中から「ファイト・クラブ」+「レミーのおいしいレストラン」になっていくという斬新な映画。
直接的な描写や説明が全く無いのだが、伝わってくる主人公の大切な過去や想いが染み渡り、心に温かいものを感じ始める。
車の中で流れるクラッシック音楽へのウンチクと、途中でニコラス・ケイジがかつての弟子に話す言葉が今作の本質を伝えている。記憶力が良すぎる主人公が忘れられないこと、忘れたいこと、永遠に残るもの。
その人にとっての『本物』とは何なのか?大切なことは他人が決められないという言葉が胸に刺さって抜けない。だから彼らの涙の意味が共通のモノを指していることが分かる。大切な人との想い出は永遠。それはいつまでも残る音楽のように永遠で、忘れられない味。
心に残り続ける想い出の大切さを、じっくり弱火で炙り出す滋味深い優しい映画。
騙されたと思ってみてほしい。