YukiSano

こちらあみ子のYukiSanoのレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
3.9
発達障害であろう あみ子をとても前向きで残酷に切り取った日常。

全然、空気が読めない あみ子が起こすトラブルにハラハラしっぱなし。

家族全員が、あみ子と向き合わず崩壊していくのに、あみ子だけは明るく突き進む姿が痛々しいのと救われるのとで感情の板挟みに苦しむ。

純粋な自由を表現する あみ子が生きていく場所なんて日本にはないのか?もはや子どもを守るはずの学校にも家庭にもないのか?そんな問いかけが突き刺さった。それでも、何処かに希望が描かれてるのは確か。

自分にも発達特性のある娘がいるので他人事ではなく、感情のジェットコースターに乗って疲れ切ってしまった映画体験だった。

だからこそ井浦新演じるお父さんに共感と反感が入り混じる。父権が機能しなくなった日本社会そのもの。

イマジナリーフレンドから楽になるように誘われても断るあみ子。

「大丈夫」という あみ子の言葉に救われると共に、日本は何処に行き着くのか?を考えてしまう。

ただ最後に声をかけた フレームの外のおっさんは我々大人の最後の良心の象徴。そんな大人が沢山いれば あみ子の呼びかけに応答する人はいるのかもしれない。
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