akihiko810

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのakihiko810のレビュー・感想・評価

4.5
アメリカの田舎町が舞台のロマンティック・コメディ。

高校生のエリー(中国出身)はその内向的な性格故に周囲と馴染めずにいた。エリーは頭脳明晰であったため、同級生の宿題を代行することで小遣い稼ぎをしていた。そんなある日、エリーはアメフト部のポールから「アスターに送るラブレターを代筆してくれ」と頼み込まれた。エリーは密かにアスターを好いていたが、その感情を押し殺して依頼を引き受けることにした…。

これはかなりよい作品だった。
田舎、人種差別、キリスト教、同性愛というシークエンスが使われているが、物語テーマの正面に出ることはなく、ほどよく物語に溶け込んでいた。
文学や映画を嗜むような人もいない、キリスト教の強い田舎で、同性愛者であることを隠しているエリー・チュー。好きな女性は、自分と同じ本を読んでいるアスター。ポールはアスターのことが好きで…。
エリーが打ち明けることのできない三角関係が切ない。そして「ポール、お前本当にいい奴だな~、馬鹿だけど」と思うことしきりだった。
人を思うこと、それを表に出せないもどかしさと切なさ、そして閉じた田舎から、自分の信じた道へと進むこととなる成長をうまく描いている。
田舎の閉鎖性を描きながら、田舎に住む個人を悪く描いてないのも印象が良いと思った。
ただし最後、エリーのキスを、(同性愛者でない)アスターが受け入れるシーンはなくてもよかった気がする。

とにかく、ネトフリ加入者はぜひ観るべき一作だ。
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