観ようかどうしようか迷っていたとき、この作品についてのブログで、ヤスミンアフマド『細い目』の冒頭、ジェイソンが母に読み聞かせた一遍の詩がタゴールのものであったことを知った。そしたら行くしかない。
「不思議ね。文化も言葉も違うのに、心のうちが伝わってくる」
ジェイソンの母のセリフは実に端的にタゴールを表していたのだなあ。
100年以上歌い継がれている歌なぞ世界中にたくさんあるだろう。でも、子どもから大人まで、農民からラッパーまで、国歌から愛の歌まで、これほどまでに民の血肉となって生き続けている音楽がほかにあるだろうか。憤り迷い立ち止まったとき、タゴール・ソングは人生の指針となってベンガルの人々を導き続けてきた。
100年前、来日したタゴールの話を聞いた日本女子大の学生たちの感動はいかばかりか。想像するだけで羨ましくなるけれど、100年後、この詩聖のことを知れたおかげでその何十分の一でも味わうことができたと思うととても嬉しくなった。