HomareKarusawa

ただ悪より救いたまえのHomareKarusawaのレビュー・感想・評価

ただ悪より救いたまえ(2019年製作の映画)
3.5
娘を救いたい殺し屋vs殺人狂の暗殺者。
ハードなバイオレンスアクション。
序盤では日本の居酒屋やラーメン屋がでてきて親近感が湧く。中盤からバンコクに舞台を移すと街中でマシンガンぶっ放したり手榴弾を爆発させたりと、やることがインフレして凄いことに! そして画面がいよいよ黄色くなって砂塵が舞う西部劇の雰囲気だしてくる田舎町で決戦!

タイトル『ただ悪より救いたまえ』の「悪」とは?
主人公の殺し屋インナムは、元恋人と共に暮らせなかったことと、別れた結果として元恋人が死んだことを悔やんでおり、贖罪として誘拐された娘を救おうとする。悪とは自分の過去の過ち。
暗殺者レイは、身内をインナムに殺された復讐がきっかけだが、とにかく標的と決めた相手を殺したくて仕方がない。悪とは彼自身の殺人欲求。
二人は似た者同士だ。主人公インナムは疲れ切ったおじさんだが、情報を聞き出すために指を切断するくらいは当たり前のようにやる。
レイはファッショナブルな殺人マシーン。純白のコートで葬式に来てお焼香をあげるような洒落者であるとともに、標的を監禁束縛して腹を裂く拷問をして殺すのが好き。
この二人は「意志を遂げる」ことで救われるのだ。

終盤に「こうなることは分かっていたろう」という終ややメタな台詞がある。
この映画で描かれるのは、男と男が意思を貫徹することに殉じる姿だ。
意思=愛とすれば、似た者同士が三角関係のもつれのすえの心中したようにもみえて「尊い」。純愛だ。

魅力的な脇役
・ヒロインのユイ。殺し合いに巻き込まれても見捨てない、友情に篤い良い娘。幸せになってほしい。ただ実子の息子がいる件どうなったのかモヤモヤしている。
・娘のユミン。つらい目にあったが、母と父に愛されているのがわかってほっこり癒される。幸せになってほしい。
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