Kz氏

スペース・スウィーパーズのKz氏のレビュー・感想・評価

スペース・スウィーパーズ(2020年製作の映画)
3.5
今更だけど、韓国映画は凄い。ジェットコースターストーリーもCGもルーカスフィルム(今はディズニースタジオか)に遜色ない。C-3POやR2-D2よりも性同一性障害(?)のもと軍事ロボット、バブズに親近感を抱いてしまう。

世界市場の映画製作を資金援助や国立映像院設立で支える国策がこの所以。だが、CGの豪華さでは劣らない「流転の地球」(2019年)や「上海要塞」(2019年)の中国SFに漂う愛国的バイブスは感じない。
天に住む5%の富裕層が地に棲む95%の貧困層を切り捨てるという構図は、「パラサイト 半地下の家族」(2019年)に通底し、反権力が物語のモチベーションとなる。その「寛容」に、日本統治・東西代理戦争・軍事独裁政権・民主化という歴史の反映が見える。

金獅子賞受賞監督が権力と距離を保つことを、文化庁助成をネタに揶揄する国民が存在する国では、世界市場は望み得ない。旧ソ連でさえ、黒澤明の「デルスウザーラ」(1975年)製作に際して、「黒澤の芸術上・創造上の意見を100%尊重し、ソ連はすべての生産的・技術的・行政的手段を完全に保証すること」を合意したのは、記憶されるべきである。
Kz氏

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