『地獄の黙示録』が裸足で逃げ出すレベルのこの世の地獄を一人で現出させていたデルロイ・リンドーさん、凄すぎる。ジャンル「有害な父性」とでもいえばいいのか、孤独と強迫観念をこじらせて怪物になり果てた父なるもの、が出てくる映画っていつもは全く響かないのだが、このポールの独白はたぶん永劫忘れられないであろう。
というわけで、好みの映画ではないのだが、間違いなくベトナム戦争についての今までの一面的な見方(アメリカの白人視点の)を相対化する契機にはなると思う。(アメリカ戦争!)
ゴー・タイン・ヴァン(ヴェロニカ・ゴー)さんとジョニー・グエンさんは二人ともベトナムの有名なアクションスターだそうで、それぞれとても素敵だったのでもっと出演作を観てみたい。イタリアが舞台の『セントアンナの奇跡』しかり、スパイク・リーは外国で映画を撮るときに現地のスターをここぞという良い役できちんと起用するところも素晴らしいなと思う。