ShinMakita

哀愁しんでれらのShinMakitaのレビュー・感想・評価

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)
1.9
自転車屋「福浦サイクル」の長女で、児相職員として働く福浦小春。彼女は日々、態度が不審な親にも怯まず行動して子供を保護している。幼い頃に自分と妹と父を捨てて消えた母親に対する怒りが、その根底にあるのだ。しかしつい暴走して、ある母親から苦情を申し立てられてしまった。うんざりして帰宅すると、今度は祖父が風呂場で倒れてしまう。慌てた小春と父がクルマで祖父を病院に運ぼうとするが、途中で交通事故を起こしてしまった。なんとか救急車を呼んで搬送できたと思ったら、次は実家の店舗部分が火事だという報せが…絶望した小春は、彼氏の部屋で一夜を明かそうとするのだが、行ってみると彼氏は浮気の真っ最中だった。まさに不幸の五連発。だが彼氏の部屋を飛び出した小春には、運命の出会いが待っていたのだ…

「哀愁しんでれら」

以下、ネタバレ失格ですっ!


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コメディ→ラブストーリー→サスペンスホラーと転調が目まぐるしい不思議な作品でした。一本で3ジャンルの演技が要求される難役を、土屋太鳳と田中圭が頑張って演じています。

シンデレラストーリーの怖さ…女性にとって最高の夢を叶えた主人公が、夢の先にある異常な価値観に接して葛藤し、やがてその価値観に呑み込まれてしまう話。「ヘレディタリー」や「ミッドサマー」のようなアリアスター風味ですよ。特にmetooや格差など現代の流行を取り入れたわけじゃなく、純粋に面白かった邦画は久しぶりでした。リアリティについての違和感…「大ちゃんの聴診器の向きが逆」という小さなものから「41歳で開業してあの暮らしができるか?」という不思議設定まで山ほどありますが、そもそも導入からファンタジーなので、そこは目をつぶります。そうすれば、かなり楽しいですよ。そう、終わりの凶行だって医事考証無視だけど、あのインパクトは素晴らしいですよ。

特筆すべきは、ヒカリを演じた子役ちゃん。あの微妙に不細工な悪童顔、最高でした。可愛いだけ・巧いだけが子役じゃないんだよね。
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