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いのちの停車場のmoobyooのレビュー・感想・評価

いのちの停車場(2021年製作の映画)
2.7
吉永小百合ブランドの映画としては、少し変化を見せた部分は評価出来ても、いつもの如く順当路線の邦画大作として想定内に収まっています。

冒頭での救命救急センター医として働く吉永小百合さんの佇まいは、流石に実年齢を隠し切れないモノを感じさせますが、父親役で共演する田中泯さんと実は同い年という与件を考えると、彼女の見た目の若さは凄いと言わざるを得ません。

金沢の「まほろば診療所」の医師として、主に終末医療の患者と関わって行く内に、医師としての本来の立ち位置を確立して行く物語りであり、確実な演技で好演の看護師役の広瀬すず嬢の方がしっかり者と云う設定がミソで、いつもの完璧者吉永小百合ではない部分は新味があります。

関わる複数の患者達とのエピソードが、オムニバス形式で積み重ねられて行きますが、奥深く接する患者と、スルッと流す患者との差が大き過ぎて、今一つ纏まり感に欠けます。最後は予想以上にヘビーな展開になって来て、コレどうやって話しを終焉させるのだろうと考えていたら◯◯ーでした。

例えば久々に姿を見たみなみらんぼう氏が演じる“不思議食堂”店主のファンタジックな存在感みたいな感じを、もっと諸々で膨らませて全体的に馴染ませたのなら整合性のあるストーリー展開になったのかも知れません。何にしても事実上は吉永小百合製作総指揮作品だと言ってしまっても問題ないみたいな極めて私的な大作映画の主演を続けられる大女優を堪能すると云う意味ではこの上ない作品です。
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