素晴らしい映画だった。
ヤクザという因果な生き方を選んだ普通の人たち(殴られれば痛い、脅されれば怖い、仲間を失えば悲しい、生きるためのよすがが欲しい、そんな感情を持った、何か少しでも違えば他の生き方があったかもしれない人たち)が、家族として寄り添いあって生きながらも、結局は社会から排除され、自分たちの行いの代償を払わされていく。そして、彼らの愛する人たちもまた、その渦に飲まれていく。
ヤクザを過剰にデフォルメすることなく、賛美もせず、非難するわけでもなく、3つの年代に渡る長い期間の物語のなかで、淡々と彼らの生活の変化と心の機微を描き出した手腕に脱帽。
映像や演出はめちゃめちゃかっこいいのだけど、「ヤクザをかっこよく描く」ことはほとんどされておらず、そのあたりの匙加減も絶妙だった。
キャストも本当に素晴らしく生かされていて、登場するひとりひとりに物語の外での人生があるのが見えてくるようだった。
良い映画に出会えて感謝。