とってもよい作品だった。
映像がすごく綺麗。特別な絶景とかそういうのではなく、日常のなかで不意に世界がまばゆく美しく見える瞬間が切り取られ、紡がれ、穏やかに流れていくような感じ。
ずっとこんな風に世界を見つめられたらいいのに。
原作は村上春樹さんの作品ということだけど（未読）、主人公に視点が置かれながらも、小説のような一人称を引きずる感じはなく、映像作品としてきちんと再構築されていた。
ワーニャ伯父さんの戯曲と作中のできごとが絡み合うバランスも絶妙に心地よい。多言語がまざりあうお陰か、あらゆる台詞が過剰に意味づくことなく、でも時に放たれる言葉には深淵に突き刺さるような鋭さがあって。この感じ、まさに読書や観劇のおもしろみそのもので、それを映像作品のなかで追体験させるのが見事だった。
とりあえずそんな感じ。
