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リーサル・ストームのShinMakitaのレビュー・感想・評価

リーサル・ストーム(2020年製作の映画)
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プエルトリコ、サン・ファン。大型ハリケーンが接近中のため、市内に避難命令が出た。市警察のカルディロ巡査は、応援のペーニャ巡査と共に避難を拒む市民たちを説得するため町に出る。すでに雨足が強くなっている状況で、2人は黒人グリフィンを確保。彼は、避難命令に従うから、その前にペットに餌をやりたいと言う。仕方なくカルディロたちは彼に同行し、住居であるアパートメントにやってきた。管理人の話では、一階の爺さんと三階の元警官が頑なに避難を拒否しているらしい。カルディロとペーニャは2人を説得しようと試みるが、そんな最中に重武装した集団が乱入してくる。彼らは、「ジャック・ザ・バプテスト」率いる強盗団。一階の爺さんが隠し持つお宝を奪取するために乗り込んできたのだ…


「リーサル・ストーム」

以下、ネタバレ・ストーム

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清々しいくらいに見事な、駄作。メルギブ史上最も酷い映画かも知れません。破綻した脚本、投げっぱなしの伏線、無理無理な設定、魅力ない主人公と、良いところが1つもないという完璧さ。これは凄いですよ。


火事場(というか台風場ですが)泥棒映画といえば、クリスチャン・スレーターの「フラッド」、ロブ・コーエンの「ワイルド・ストーム」なんかがありますが、本作はアパートメントに場所を限局してるのでこじんまり。しかも自然の猛威でキャラたちが窮地に陥る場面がほぼゼロ。停電になるくらいなんだよな。というわけで、このジャンルの中でも最低クラス。

主人公は制服警官のカルディロ。一年前までニューヨーク市警の刑事で、相棒かつ恋人だったジャスミンを誤射してしまった過去があるという設定。このトラウマが劇中生かされるシーンは一切なし。火星人みたいな飼い犬も一切出ないし、全く無駄な設定でした。我らがメルギブは、避難を拒否する元署長のバレット。肺と腎臓をやられてボロボロなんだけどタフなおっさん…というキャラにワクワクが止まらなかったんだけど、割とあっけなくRIPという残念さ。武器庫みたいな部屋、痛み止めがある部屋など普通に他人の部屋を把握しているのが違和感。

敵ボス、「ジャック・ザ・バプテスト」のキャラクターもかなりおかしいですよ。無意味に部下を殺しちゃうし、絵画知識が豊富な割に、囮部屋で満足しちゃうし、カルディロの過去をなぜか知ってるし、ワケわかりません。警官の制服に着替えた瞬間にオチが見えて、ラストまでイライラしちゃいましたね。

…細かいとこをツッコンでたらキリがない作品。かといって擁護したくなる魅力もない残念さ。おめでとう、「三國志」につぐ本年ワースト決定です。
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