ちーずとまとりんごちょこ

あのこは貴族のちーずとまとりんごちょこのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.5
タイトルに騙された。

この映画ではキャラクター1人1人の階級(とあえて言わせてもらえば)が、気持ちいい程あからさまに描かれている。

簡単に分かりやすく表すとこうなる。

幸一郎:ガチの貴族のご子息
華子:東京名家のお嬢様
美紀の同級生:地方のお金持ちの子供
美紀:一般家庭の女の子

華子がお嬢様であることは、煌びやかな会食シーンとかではなくて、もっと細かいところから見て取れる。

例えばレストランで美紀と対面した際に、美紀が落とした食器を拾おうとするが、華子は店員にさりげなく拾うようにお願いしている。華子は美紀が拾おうとしていることすら視界に入っていないだろう。

これがこの映画で言うところの"お嬢様"と"一般人"の違い。

こういった表現がこの映画には沢山散りばめられている。

今はSNSで誰の情報でも基本手に入るから、お金持ちの人を表面的に知ることもできる時代になった。

よく聞く会話、

「ボンボンでしょ?いいよね。」
「お金持ちと結婚したい。」
「何一つ不自由なく育ってきたんだ」

こういうのを聞く度に、私は色んなお客様の顔を思い出す。

人の苦労を比べることはあまりしたくない。
それぞれに生きてきた過程の中で苦労がある。
それでも私が少しでもこの映画で感じ取ってもらえらばと思うのは、

上流階級に生まれるというのがどれ程過酷なものなのか。
彼らが自由とは真逆の世界にいる人達であるということ。

そして、どのキャラクターに対しても、妬みや嫌悪感を持って欲しくない。

色眼鏡を通してこの作品を見ないこと、それがこの映画を最大に楽しむ最高の方法だと思う。

良い映画だった。