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本気のしるし 劇場版のnanaのレビュー・感想・評価

本気のしるし 劇場版(2020年製作の映画)
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例えば同じような性格のキャラクターでも、その性別によって観客の印象が変わってしまうことがあります。
同じ台詞でも、それを発するのが男か女かで受け取る側の抱く感情が変わることも。
本作ではそんな現象に疑問を問いかけるような作品でした。
深田監督が、今作の宣伝文句に「ファム・ファタール」という表現を使うことを禁じたというエピソードも思い出されます。

今作では男と女の立場が逆転したり、互いの言動が鏡うつしになることが印象的に描かれます。
この物語において、浮世を始めとする先輩、みっちゃんという女性キャラクターへの眼差しはとても優しいものに思えます。
スリル満載サスペンスの中に、ジェンダー論をはじめとする様々な現代社会における問題提議がされているので、観ていて楽しい、面白いのが何よりの魅力です。

もとは1話30分のテレビドラマだったこともあり、定期的に観ているこちらを引き込む物語上の展開があるので長尺も飽きずに楽しめます。
マンションのベランダから外を見ると駐車場に人影が見えてそこから…という結構凄いワンカットもあり、物語だけでなく映像的なハラハラも盛りだくさんです。

本気のしるし、それはあの腕の跡なのか、あの地図に記したものなのか、彼は、彼女はこれからどこへ向かうのか。
観終わってからしばらく経っても、今作に出てくる人々のことを考えてしまいます。

自分は何も関係ありませんが、ただ地元というだけでこの企画を通して実現させたメ~テレやるな!という気持ちになりました。
深田監督の次作も楽しみに待っています。
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