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GAGARINE/ガガーリンのたまのレビュー・感想・評価

GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)
4.0
そこはまるで仮想空間。

仏に実際にあった「ガガーリン」と呼ばれた公営住宅。
老朽化とパリオリンピック開催もあり、取り壊しが決まった。

そこに住む孤独で独創的な少年ユーリ。
長年慣れ親しんだ住人達が、別れを惜しみながらも離れていく。
しかしユーリは、家を出て恋人の元へ行ってしまった母親からの迎えもなく、たったひとり、行くあてもなくそこにとどまるしかなかった。

ユーリにとっても、その他の住民にとっても、想いがたくさん染み付いた集合住宅が無くなるのはとても辛いこと。
コミュニティも崩壊してしまう。

それでも、永遠に続くものは無いのが世の常。想いだけが残される。

ユーリが恋心を抱く女の子は、放浪するロマの一族のディアナ。
移住を拒むユーリとは対照的な存在。淡い恋の行方もまた切ない。

ユーリの持つ頭脳と想像力に感心をしながらも、刻一刻と迫る解体の時刻に、見ていて焦りと、ユーリを置き去りにした母親に対する怒りが込み上げてくる。

ユーリの手によって、公営住宅の中はさながら宇宙基地となり、無重力状態まで引き起こす。

現実を超越したファンタジーの世界にどっぷりと浸かった。
それで、結局ユーリはどうなったの…
と現実的な事ばかり考えてしまうのだけど…
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