東欧独特の、暗くどんよりとした雰囲気が漂う。
始まりは、第二次世界大戦前夜。
舞台は現在のウクライナ領のポーランド。
そう聞くだけで、国境線が幾度となく塗り替えられ、人種と宗教が入り乱れるモザイクのような欧州大陸だと分かる。
島国日本とは明らかに違う。
ドイツ、ソ連と大国の思惑に翻弄される人々は、まさに今にも繋がっている。
ユダヤ人、ポーランド人、ウクライナ人の3つの家族がそれぞれ暮らす住居。
戦争の影がひたひたと音を立てて近づいてくる。
重苦しい空気が流れる。連行される人々、行方不明になる人々、そして残された子供たち。
子供たちを懸命に守ろうとするウクライナ人の母ソフィア。
そして、ドイツ人の子供までも。
果たして自分かこの立場なら、できたであろうかと自問自答しながら見る。
ただただ怯えながら生きている。どれだけの人たちが、そうだったんだろうか。
見るのがとても辛い映画。
胸が締め付けられるよう。
ただ、数十年後のシーンが説明も少なく、少しわかりずらかった気がした。
ウクライナ民謡のキャロル・オブ・ザ・ベルの、美しくも陰鬱なメロディがいつまでも耳に残る。
とても幸せが訪れる歌とは思えない。