辛い経験を語る事は 本人にとってはとても悲痛であろう事でしょう。
けれども 歴史を後世に語り継ぐって 大変ありがたい事だと思うのです。
小さい頃に戦争を体験したおじいさんの話が興味深かったのを よく覚えています。
話をして下さった方も年老いて やがてこの世を去っていく···
だから このようにフィルムに残すって貴重な事だと思います。
アニメーションで過激な描写も少ないので
(一部 実写でありましたが)
お子様でも入りやすいかもしれない。
画面のカラーの変化が 彼の心の色を表しているので分かりやすい。
そして インタビュアーに主人公アミンが答える形なので
まるで鑑賞している私たちに話しかけているようなのです。
幼い頃に故郷をなくして 逃げて逃げて流浪の民となったアミンは
安住の地を求めていた。
自分のアイデンティティさえも捨てねばならなかった彼は
自己を取り戻したくとも 怖いのです。
アフガニスタンでは ゲイである事は家族にも隠さねばならない。
告白した際にとった兄の行動が 素晴らしくてね。
アミンは家族と離れ離れになり 一人で孤独であったから
この事で家族が崩壊したらと思うと
告白するのも怖かったでしょうに。
それをすべて包み込むように受け入れた兄の存在に
どれだけ彼は救われた事でしょうか。
人の一生分の幸せは皆平等だと わたしは思っています。
アミンはこれから先 今までの分も幸せになるのだと信じたい。
気付きをも もたらしてくれた映画でした。
今の生活に奢り高ぶる事なく
襟を正さねばならないと。
