nt708

スパイの妻のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

スパイの妻(2020年製作の映画)
1.2

このレビューはネタバレを含みます

良い材料も料理の仕方を間違えるとこうも不味くなるのかというのが本作を見終えてまず思ったことである。

本編のストーリー、、悪くない。
演者の演技、、悪くない。
劇中曲、、悪くない。

ただエンドロール後の優作が亡くなったことが判明して聡子が渡米したと文字だけ出した意図はなんだろうか。ところどころに劇中曲を挿入したいとはなんだろうか。世の中では絶賛されている照明をあれほどふんだんに使った意図はなんだろうか。要するに映画を構成する各要素は悪くないにもかかわらず、それらの要素を繋ぐやり方に意図を感じないのである。

最後の文字は制作陣のみぞ知るとして、劇中曲は観客の感情を揺さぶろうという意図かもしれないが、どうもシーンとタイミングがミスマッチしている。照明も窓の外を光で飛ばして庭の様子や街並みをリアルに描くことから逃げているとしか思えない(現に質屋に預け物をするシーンに登場するセットはチープで、砂利道のわりに使用感が全く見られない)。

空襲のシーンも拷問のシーンも戦時中を描いたとは思えないほど軽々しく見るに堪えないほどだった。これが制作陣の戦争観なのだろうか、、もしそうだとしたらfilm maker失格だが、決してそうでは無いはずである。予算の都合やら何やら制限があるのは重々理解しているし、素材は一級品なのだから、料理の仕方をもう少しどうにかして欲しい。久しぶりに実写の邦画を劇場で見たが、いろいろと心配になった、、別に自分が日本の映画界を背負っているわけでもないのに、、
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