Longsleeper

スパイの妻のLongsleeperのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
3.5
平和な日本では、緊迫した頭脳戦を生き抜く諜報員ものはやはり不向きなのかも。
というかスパイじゃなくて告発者。
ラストの感じから実話かと思ったら、まったくのフィクションなんかーいとなった。
実話ベースで書いてたから、理屈がしっくりこないところもあるのかと思ったらそういうことじゃなかった。
セリフで語らせてる割には、喋ってるところでも引きのカットが多く、熱量不足に感じる。
昭和日本の風景はかなりのクオリティだけど。
全体的に展開が遅く、「このカット要ります?」とたびたび思った。
憲兵がフィルム見るためにゴソゴソ椅子を持って集まるところとか、ていうかひとりの聴取にこんな十何人も人員割きます? と思ってしまうし、何で階段前の通路に東出の机が置いてあるのかもわからんし。

聡子は、あっと驚かせる立ち回りもあったけど、何でそれが上手くいったかは謎。
下手したら優作を絶命させかねない作戦。

夫が信じた大義に、一度は背を向けつつ、あっさり方針転換した理由があのフィルムというのもいまいち納得いかず。
内容はその前に彼が語ったもののままなのに。
役に立てるのが嬉しいと言いつつ、尾行が来ないか見張ってるから! のくだりとか完全におままごと。
のほほんとした専業主婦が仕事ごっこをやってる感じ。
ヨーロッパのヒリヒリするスパイものと比べ、全体的にお粗末に感じてしまった。

大義のために働きたい気持ちと、夫婦愛のどちらも中途半端に終わった。
ていうか国家は人道の危機のために戦争するんじゃないんだから、あれを発表したところで……という気もする。
米国の対日参戦は真珠湾攻撃で決まったわけだし。

全体的にいまいち没入できなかったのは、蒼井優の演技してます感が強かったせいかもしれない。
カメラ映えは凄いけど。。。
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