諸星だりあ

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースの諸星だりあのレビュー・感想・評価

4.5
スパイダーバースシリーズ2作目、3部作の中間だが、悩めるヒーロー、スパイダーマンの真髄を描く秀作だった。

前作でスパイダーマンとなったマイルスだが、家族との関係が歪になっており、別次元のグウェンも同様に悩んでいた。グウェンはスパイダーマン達の元締めともいえる次元に誘われるが、マイルスへの想いが平穏を壊してしまう…。

アニメでなければ出来ない表現、アニメでやる意義を存分に見せつけながら、物語はシンプルに進んでいく。今なら実写でも可能だろうが、よりぶっ飛んでいる。イレギュラーなスパイダーマンであるマイルスが世界のバランスを崩しているがゆえの過酷な運命、「ヒーローとはいかにあるべきか」の問いかけにグウェンが共鳴し、ラストは驚愕の展開とともに次回へ続く。見応え充分だった。いや、ミゲルはもはや厄介なスパイダーマンファンのようで、皮肉に見える部分も。

正直スパイダーマンに聡くないので、こんなに大勢いたのかと笑ってしまう所だったが、日本でいうウルトラマンや仮面ライダーと同じなのか、と。ただ向こうは、主人公がずっとハヤタや本郷猛という感じなのかなと思った。
何はともあれ、冒頭と締めを飾るようにある意味主役はグウェンだった。彼女もまた運命に抗い、ヒロインではなくヒーローであらんとするスパイダーウーマン、モラレス夫妻との会話と約束には鳥肌が立った、ただただ格好良い。

完結は一年後、かつてのインフィニティウォー→エンドゲームと同じ感覚で待っていようと思う。

「私に合うバンドは無かった。だから、自分でバンドを作った」
諸星だりあ

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