諸星だりあ

機動戦士ガンダムSEED FREEDOMの諸星だりあのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(2024年製作の映画)
3.8
TVシリーズは総集編を観た程度だが、世間のフィーバーぶりからトレンドチェックとして映画ファンの目線で観てきた。

2年間のTVの続編ながら、相変わらず戦争は続いており筋としてはDestinyの敵であったデュランダルの遺志を継ぐ者たちによる陰謀が描かれる物語。

感想を述べると、実にシンプルなラブストーリーだったな、という印象。ラクスを巡り、キラと敵の男、オルフェの対決が主軸になる。
が、とにかくキラが不甲斐ない。100話の戦いを経た主人公として戦闘力は高いものの、現状に対しての無力感やラクスが他の男といる時の反応など、迷い・戸惑いにまるでベテランらしさがない。逆シャアのアムロがラー・カイラムから恐怖で逃げ出したりしただろうか?

そんなキラに溜まったフラストレーションをアスランとシンが中和してくれた、彼らこそ「最終回後の主人公」だったと思う。
特に展開に意外性もなく大方結末まで読めてしまったし、元々あまり好きな作品ではなかったSEEDへの見方を変えてくれる程の魅力はなかったが、印象に残る台詞はあり映画としてのまとまりも理想的だった、秀作である。

「必要だから愛するのではありません、愛しているから必要なのです」
「不可能を可能にするのも、楽じゃないよね」

似たような描写が続くのと、露骨なお色気シーンに興醒めしてしまったが、これはこの作品の色でもあった気がする。
とりあえずマリュー艦長、いかなる状況でも生き残るその強運ぶりはまさにガンダムの艦長であった(笑)。
諸星だりあ

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