諸星だりあ

ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突の諸星だりあのレビュー・感想・評価

3.9
4年ぶりにTVシリーズからの劇場版ウルトラマンを映画館で鑑賞。
とても寒い初日だったが、それも思い出になる。

ブレーザーは主人公が父親であり、家族と仕事の板挟みに悩む場面は何度かあった。今回の劇場版は、それが最悪の方向にブレてしまった家族が物語の中心になる。
ニュージェネ映画で個人的に最も良かったと思っているエックス劇場版を思い出させる、ただ強敵と戦うシンプルなストーリー。ゆえに特撮はTVからパワーアップしていて、巨大戦と等身大戦闘が同じ画面に混ざる画作りのバリエーションが豊富で、流石田口監督だと感服した。

それにしても、真伏家とヒルマ家の違いはなんなのだろうと考えてしまう物語。ジュン君が大人にとって都合の良い、物分かりの良すぎる子なだけなのだろうか。ゲント隊長の人柄なのであろうか。そこが明確になっていないので、少し釈然としないものが残った。
強いてあげるならば、同僚の信頼を得ているかどうか、に違いがあった気もするので、やはり仕事人間としての器、という事にしておこうか。
このテーマ、「仕事より家族を大切にしよう」と言うは簡単でも実際にはその家族の為に働いている訳で、結局は無限の堂々巡りになりがちである。このウルトラマンブレーザーでもそれは変わらなかったが、ゲント=ブレーザーが周りにバレていないままなのは彼を特別な目で見させないという意図があるようで、父親の持つジレンマに真摯に向き合った作品ではないかと思える。
親子ドラマの定番として後年にも残って欲しい、そんな気持ちが芽生えた劇場版だった。

新フォームや客演もない、映画でもストレートに「俺が行く!」を貫いたブレーザーであった。

「待ちくたびれたか、ブレーザー!」
諸星だりあ

諸星だりあ