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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのAyaxのレビュー・感想・評価

4.5
小難しいことを書いてると思われる部分があるかもしれないけど、観れば分かるから!よく分からなくても、この爽快さとか美しさとかを感じるだけで充分だから!と言っておきたい。でも、前作は観ておいた方が良くて、少なくともどんな話か知っておいた方が良いので、完全に手ぶらで行くのはおすすめできない。前作観る時間がないとか、やる気がでない場合は、YouTubeに予習動画を上げてる人がいるので取り急ぎそれを見るとかでも。予習より、この「アクロス・ザ・スパイダーバース」をなるべく良い映画館で観る方が大事。
観てる最中も、観終わってからも、さささささささささ最高〜〜〜〜という気持ちで胸がいっぱい。前作も確かにすごかったけど、自分はそこまで乗れてなくて、何でかなと考えると、やっぱりストーリーがそこまでグッと来てなかったんだと思う。今作は降参!完全降伏!!という状態。脱帽!敬礼!
映像、脚本、音楽、キャラクターなどすべての要素が前作以上。異常!!!
なんてお洒落!なんてかっこいい映画なの!?映像がアートの領域(そもそも映画はアートの一つなんだけども)。
違うタッチの絵柄が普通に一つのシーンに入ってくるし、レゴや実写の映像も組み合わせてきて、スクリーンの中で起こってることはカオス。なのに一つの作品として一本筋が通ってるのはなぜ!?どうしたらこんなに全ての面でハイクオリティな作品ができるの???どうやって全体のクオリティコントロールしてるの?何これ?は???って感じ。
監督が3人いるらしい。そうだよね。一人で取りまとめるとか全然無理だと思う。正気の沙汰じゃない。製作&脚本の方は、前作以外に「くもりときどきミートボール」や「ミッチェル家とマシンの反乱」、「レゴ・ムービー」シリーズを手掛けてるらしい。なるほど。
話の内容も絵も情報量が超濃密で、テンポも早くて、あとちょっとやり過ぎたらついていけないというギリッギリのラインを攻めてる。なので初めて観るときは考え過ぎない方がいいと思う。
背景とキャラクターのフレームレート(1秒あたりのコマ数)が違うとか聞いたことないし、キャラクターによっても違うらしい。は???頭おかしい。ちなみにフレームレートが高いほどコマ数が多いのでなめらかになる。背景のフレームレートを高くしてキャラクターを低くとかわざとやってるらしい。上半身と下半身でフレームレート変えてる説とかもあって、もう怖いんだけど。「アバターWoW」がシーンによってフレームレートが違うとかは聞いたことあるが。
ほぼ文句なしだけど、場面によって昔の3D(赤と青のフィルムが貼られた眼鏡で見るやつ)の絵みたいにブレてるように見えるところがあって、それはアメコミの印刷のズレのイメージらしい。こだわりキモいところ最高だけど、私は見づらかった。
あと、観る前までなるべく情報入れないようにしてたこともあり、今作と次回作で二部作ということを知らず、話が完結しなかったので、ちょっとがっかりしちゃった。結構時間経ってるのになかなか解決に向かわないなーおかしいなーと思ってはいた。
しかし、こんなのは全然些細なマイナスで、宇宙の規模で見れば100点、いや1億点。私の場合、めちゃめちゃ良かったと思う作品は年に5本前後で、そういう普段のめちゃめちゃ良かったとは比べ物にならない異次元の素晴らしさ。
こんな映画が映像が、この世に存在するなんて。しちゃってる。ヤバい。恐ろしい完成度。それを映画館の大きなスクリーンで目の当たりにできる時代に生きていられる幸せよ。
あまりにもすごすぎて直前に観た「ザ・フラッシュ」の内容がかなり吹き飛んでしまった。
宮崎駿のドキュメンタリーみたいに制作に密着する番組やってほしい。ブルーレイ買えば特典映像とか付いてくるかな。
鑑賞後、世紀の傑作だ!という感覚はあったものの、脳の処理が追いつかず、何を見させられたのだろうと呆然としてしまったのも事実。未だに消化できてないし、一回観ただけでは無理。私はIMAXで観たけど、ドルビーシネマが良かったと言ってる人もいてもう一回観たいなあ。パンフレット買いたいので、買ったら加筆修正するかも。
グウェンとマイルスがブルックリンの街を飛び回るシークエンスとそこでかかる曲がむちゃくちゃ超絶おしゃれで好き。エンドクレジットの曲もかっこいい。無数に出てくるスパイダーマンの中ではインド(ムンバッタン)のスパイダーマンが推し。
何にしろ、最大級の賛辞を贈りたい。こんな極東の島国に住んでる私からのなんて届かないだろうけど!超変態的作り込みの異常映画を作ってくれてありがとう~!あんたたち、最高だよ!!
〈追記〉
画がどこで止めても決まっていて、それだけだったら他の映画でもあるんだけど、それに加えて、いろんな作風のアーティストの作品が一堂に会する「スパイダーマン」がテーマの美術展にやって来たみたいな気分になるのがすごい。しかもそれが動いて、音まで付いてるという。
最初に観たとき興奮しすぎちゃったから、2回目は冷静に観たつもり。でもやっぱりどう考えてもすごいんだよなあ。映像の力が強いのでそっちに目を奪われがちだけど、脚本も相当強かったと思う。音楽も良いし。
IMAXとドルビーシネマで観てみて、ドルビーシネマの方が黒が漆黒で光が眩しく見えて良かったと思う。
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