みや

樹海村のみやのネタバレレビュー・内容・結末

樹海村(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

引きこもりの少女・天沢響は、姉の鳴に無理やり連れだされた引越しの手伝い中に友人の新居の床下で謎の箱を発見する。その後、箱を処分しようとした男は交通事故に遭い、箱に触れた友人は流産してしまった。不幸が続いたため、鳴の恋人の父親が住職を務めるお寺で箱を祓ってもらうが、13年前に封印された呪いは姉妹を富士の樹海へと導く…。

「恐怖の村シリーズ」第2弾。舞台は富士の樹海、怪異は都市伝説の「コトリバコ」。
第1弾『犬鳴村』は2020年に映画館で鑑賞済。犬鳴村のストーリーをほぼ覚えていなかったが、前作との繋がりは全く無いらしいので問題なく理解できた。

以前から監督さんの恐怖演出と相性が悪く、「設定や構成は好きなのに残念だなあ」と毎回思いながら懲りずに観続けている。『犬鳴村』も同様の印象だったのに、今回はなぜだかストレスフルに楽しめた。私の好みが変わったのか?寛容になったのか?演出の方向が変わったのか?終盤でちょっと笑っちゃうところはあるもののイライラは皆無だった。嬉しい。

言葉ではなく表情や視線の演技だけで状況(流産や放火犯の疑惑など)を伝えるのがとても巧かったと思う。何と言っても主人公が全然喋らない子だから、こちらが響ちゃんの考えを察するしかない。日本人の本領を発揮した。
普通であれば恐怖の盛り上がりどころとなる場面の直前で映像が切れて、
その後に起こるであろう出来事(首を切るなど)を受け手側に想像させる見せ方も好き。
説明が少ない分、わかりにくい部分が多少はあった。前作ほど主筋は難しくないから雰囲気で乗り越えられたものの、初っ端で交通事故に遭った人が何者なのかはとても疑問。

前半では響ちゃんの推し(?)の女性YouTuberが生配信中に富士の樹海で消えてしまい、彼女を探しにファンの人たちと一緒に樹海へ入るエピソードが並行して描かれる。引きこもりなのに初対面のオフ会は行くんかい!と思わずツッコミたくなるが、それだけ樹海に惹かれるということなのでしょう。
その後も樹海の場面は盛り沢山なので、タイトルに偽りなし。一度でいいから下世話な興味本位で行ってみたい。

蜘蛛やサソリの標本を飾って、オカルトチャンネルを夜な夜な見て、友人と一緒にいても無愛想な妹なんて嫌だわ~と響ちゃんを見ながら思いつつ、人殺しの本ばかり本棚に並ぶコミュ障な私も大差ないなと気付いて反省した。お姉ちゃんごめん。姉とは凄い生き物だ。
自分自身も悩みを抱えているのに、不思議な妹に振り回されながら必死に頑張る鳴ちゃん。恐らく観る人全員が彼女を応援していたと思う。むしろ主人公は鳴ちゃんなのでは?と気になって調べてみたらW主人公だった。それなら納得。
何事も完璧な優等生なのに恋人はお寺のチャラい息子っていうのがまたいい。このチャラ坊主が私の推し。まさか生きていたとは!

要所要所で虫が出てくるのはしんどかった。気持ち悪い。
死人の数はかなり多く、死に方や死体の発見状況がバラエティ豊かで楽しかった。電話の後ろでチャラ坊主が首を切っちゃう場面がお気に入り。
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