Sam

ウルフウォーカーのSamのレビュー・感想・評価

ウルフウォーカー(2020年製作の映画)
4.4
何ちんたらレビューを観てるんだ!?
まだ観ていないんだったら近くの映画館でウルフウォーカーを上映している所を探すんだ
話はそのあとだ


ウルフウォーカーを観た
Cartoon Saloonに魂を売った女です
Amazon primeでソングオブザシーを観た際にその作品の美しさと物語に心奪われ、ケルズの秘密を続けて観て,もちろんbreadwinnerも。その可愛らしい絵の中にある歴史の残酷さと現実、想像力と希望に胸を刺され…そんなこんなで今年ケルト3部作目となるウルフウォーカーが映画館で上映されるということで行ってきました…

⚠️以下ネタバレあり⚠️

私の持っている知識とか脳みそ絞りながら、専門家じゃないけど感想を書いているので、ガバガバかつ拙い文章ですがお付き合いください

まずネットでこのお話が「もののけ姫」みたいだと言われてるのは……なんでだろう?それは狼🆚人間というテーマが一致してるだけだろうけど…もっと違う意味が描かれているような気がしました。個人的には似たり寄ったりどうか分かんないけれどポニョに近い気がした!

・異教徒とキリスト教(というかカトリック?)
神秘🆚現実 知性🆚野生 陰陽の関係にあったこの二つ。 啓蒙思想に目覚めた人々と伝統や伝説を信じる人々…

それぞれのキャラクターのモチベーションと言っても良かったと思う宗教の存在。これについて少し触れたい。歴史上でも現地で崇拝されていた宗教が、キリスト教の伝来や影響により信者が少なくなる、隠れて信仰しなければならなくなってしまう、それはキリスト教徒からしたら異端であるから。例えばサウナ文化はフィンランドが有名だけどリトアニアでは密かにサウナの伝統を守ってきた。何故ならキリスト教を信仰しなければいけない環境で、サウナで裸体を晒すなどキリスト教ではありえないこと。だから隠す必要があった。 また宗教には人を操る力があった。これは歴史上でも教会は市民に税金を課していたし(十分の一税)、教皇は最高指導者として権力を持った。
作中で結構言われてたのが「労働はお祈りと一緒」ということ、なんか宗教の力を感じたよね…。働けばその分、神の御加護を受けられるからそういう言う意味で使ってたのかなと思えるけれど、ロビンの父も言っていたように護国卿に従うのは「恐れているから」、もはや信仰心や神様の名目の元に従わせる以前の問題にも思えます。脅迫とかそういう類。

ちゃんと説得力がある説明が出来ているかわかんないけれど…宗教って本当に権力を得るという意味ではとても大切な要素であること。そして、正しいと思うもの、信じるものに従って、登場人物達は行動している。これはキリスト教を信じる、ウルフウォーカーを信じる、それ以外にも「誰かの為を思って動く」これがキャラクター達から感じられた。だから私はこの話、誰が悪いとか正しいとかそういうのはどうでもいい…もうなんか全てにおいて綺麗だったよね?だよね、そー思うよね。

ここで作中でヴィランと考えられる護国卿についてお話ししたい。いや、こいつも見たかんじ悪いやつやねんけど、悪い奴ちゃうねん。ポカホンタスに出てくる総督に似てるけどや。 彼が窓を開けて民衆を眺めながらお祈りを捧げるシーン、この時点で「あっこいつにも信じるものがあるんだ」そう感じたし、なんか弱く見えちゃった…。そしてクライマックスで彼が崖の上でロビンパパに噛まれてしまい、ウルフウォーカーになりかけるシーン、この時護国卿の信心はブレブレのブレ。神秘的な体験を目の当たりにすること自体が初めてかもしれないでしょ……いちキリスト教徒として心に迷いが生じた瞬間。そんな彼は「仲間になるくらいだったら死んだほうがマシ、俺は純粋なキリスト教徒として生きるんだい!」と言って自ら死を選んだあのシーン、果たして彼は悪いやつだったと言えるのか? 

ロビン、メーヴ、ロビンパパ、メーヴママ、ウルフウォーカーに助けられたおっさん、近所の悪ガキ、その他全ての人に「信じるもの」があった。それが何よりも彼らをその時代に生きていた者としてアニメーションを通して「生かした」ような気がしてたまらんのや……。娘を守る目的の下行動している父と友達のために行動を起こすロビン、宗教の違い、信じるものが違うから対立してしまう、それがよく描かれていると思いました。一見シリアスで「えっこれ子供向け?」みたいなシーンもあるけれど、明確な描写と受け手が正しくメッセージを受け取ってくれるように促しているようで、ケルト3部作全部を通しても一貫したテーマ?のように感じました。

序盤でウルフウォーカーに助けられた農夫のおじちゃん、死ぬ覚悟をしたときに祈りを捧げていた→でも助けられて神秘的体験をしたことによりウルフウォーカーを信じる道を選ぶ、もうなんかこの流れを見てしまったらさあああ…投獄されるリスクを負ってでも行動する潔さ、あいつはあいつの人生を歩んでる感、ロックじゃん…(???)
こういうキャラクターの動機、最高に生きている感じしませんか?

この生き方(?)の違いはイラストやアニメーション描写でも見受けられます。街の人々とウルフウォーカーを比べてみると、街の人は真っ直ぐな線を基調として図形のように描かれていますが、ウルフウォーカーの線は荒々しくスケッチさえも見える、野生そのものと言えるでしょう。これはロビンを見ていると一目瞭然で、彼女の線画もメーヴ達のように荒々しくなっていきます。途中で髪を下ろすのも支配からの自由を表現しているように見えるよね。

劇中歌で使用されてたのはAURORAの歌うRunning with the wolves、アナ雪2でエルサを誘う声として出演してたあのAURORAが、納得の楽曲提供😭 彼女のことが気になった人はanimals, queendom, hunger, Seed, daydreamers なんかとても神秘的です…!でもこの曲、作品とマッチしすぎてて鳥肌が、鳥肌が、とまんなかったよ…!もうこの曲軽い気持ちで聴けないよ…🌊🌊😭🌊🌊

・英文法?でちょっと気になった所〜
ロビンが私のお父さんって言う時にme fatherって言ってたように聞こえたんだけど、当時の英文法ってどうなってたのかな?それとも訛りでそう聞こえただけでmy fatherって言うてたんか?教えて賢い人!(後でちゃんと調べる)

・約束の持つ意味
これはわかりやすい描写で且つ序盤の方から言及されてて、この物語のメッセージの一つでもあるよね。子供にとっての約束と大人の言う約束、この対比が上手に描写されてた!(メーヴの約束に対する想いと怒らないと口頭で約束するロビンパパ)

今思いつく感想はこれ以上ないけれど、もう一回くらい観に行きたい。とりあえず一枚の絵に何十の情報が詰まっていて、ストーリーも神秘的すぎて「これは神話…?」と脳内処理が追いつかなくなっちゃったもんね…(アナ雪2の時と同じ、綺麗すぎてoverwhelmingで😶😶って感じ)
Sam

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