りょう

シュシュシュの娘のりょうのレビュー・感想・評価

シュシュシュの娘(2021年製作の映画)
3.4
 いかにも自主制作映画という映像と雰囲気でしたが、88分という短尺で、とりわけダレるようなこともなく、ちゃんと面白い作品になっていました。
 公文書の改ざんとそれに加担させられた公務員の自死という展開は、首相官邸と財務省を舞台にした実際の事件をベースにしていると思いますが、あまりリアリティにこだわらず、ラストシーンに納得できるような極悪ぶりをソフトなタッチで描いています。
 その背景にある外国人差別の描写が辛辣で、自警団のような連中と市役所の幹部たちの結託ぶりがあからさまです。何が彼らを外国人ヘイトに導くのか理解できませんが、それに無関心な住民たちが条例制定を後押ししたと言ってもいいはずです。
 鴉丸未宇が忍者の末裔で、それをテーマに復讐劇を構成した必然性は感じられませんでした。それよりも市役所の特徴を強調して、組織内部の攻防なんかも表現すれば面白かったかもしれません。これを観た外国人は、いろいろな意味で「日本っていったいどんな国なんだろう」と思うに違いありません。
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