A8

そこにいた男のA8のレビュー・感想・評価

そこにいた男(2020年製作の映画)
1.6
パトカーのサイレンの音が鳴り響き、アングルは“刺されて血まみれになる全裸男”と“刺したと思われる女”の地獄絵図から始まる。
そして、映像が切り替わりそこから、彼らがなぜこの結末に至ったのかという経緯や出会いから男に対しての女の気持ちの変化、、そして、彼に依存していく狂乱の果てが淡々と描かれる。

“刺された男”は絵に描いたようなクズであり、奥さんがいた。それにも関わらず刺した女(サキ)を利用しお金そして心を捲り上げていったのである。
男は死ぬのだが、彼には同情できなかった。死んでも同情できないほどの人間だったのだろう。

悲惨すぎるこの結果、、愛なんてどこにもない、、。間違った恋には気づけないのかもしれない、“恋は盲目だ”というがその言葉の成の果てまで表したような作品であった。

最後のハッと夢から覚めたシーン。まさかの夢オチ??それとも、予言??
本能がその夢を見させてのあの顔はなかなか怖いとは思うが、あまりしっくりこなかった。
そして、刑事役の2人、、あまり役にハマってない気がした。

画面から見ても、うゎ、、、目を覆いたくなる汚さ。だけどこれに対しても“恋”の気持ちがあるということ、会社から金を奪っても罪悪感を感じない姿、、まさに“盲目”、、最悪な結末になることはオチが描かれなかったとしても予想できるほど。

面白いとか魅了される何か特別なものがあるかと言われればあまり感じなかった。仕掛けも人物の感情のリアルな動きも中途半端な気がした。そして、感情命のような作品なのに演技があんまり(特に刑事役)だったのであまり入り込めなかった。

狂気に満ちた彼女(サキ)。だけどその過程をもう少し丁寧に描いてほしい気がした。
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