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インファナル・アフェアII 無間序曲のnのレビュー・感想・評価

4.9
ドラマチックでエモーショナルで、三部作の中では断トツに好き。
あの美しいテーマ曲が流れるオープニングクレジットでもう鳥肌が立つし、香港返還のシーンは何度見ても感極まってしまう。

ハウ、マリー姐さん、ルク警視から、ロ・ガイ、サンスク、ンガイ家の長姉、殺手たちに至るまで、キャラクターたちの一人一人がそれぞれの物語を感じさせて、何も言わずとも本当にかっこいい。シリーズの中でこの一本だけは、キャラクターが単なるストーリーの駒ではない人物として立ち上がっていると思う。

好きな場面も挙げたらきりがないけれど、やっぱり火鍋のシークエンスと弔いの献杯は毎度最高にテンション上がる。ハウ兄さんとロ・ガイの並びの凄まじい色気…!

今作では脇に回っている、まだ疲れも倦みも知らない若き日のヤンの透明感には胸が締めつけられるようだし、若気が至りまくる生意気なラウはそれに輪をかけて大変良い。というか、何でだかラウが若いというだけで無性に泣けてきてしまう。この人にもこんな表情、こんな感情があったんだなあ…と。

全体に薄っすら青い画面と、繰り返される「世に出たものはいつか消え去る」という言葉が何とも切なくて儚くて、「序曲」だけどレクイエムみたいな映画でもあると思う。
書いてたらサントラが欲しくなってきたので買おう。
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