たく

ノマドランドのたくのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.8
家を持たず、キャンピングカーで旅をしながら暮らすノマドの生活を淡々と描いてて、地味ながらジーンと来た。実話が基になってるんだね。

冒頭で示される2011年の採掘工場閉鎖を受けて、家を失ったファーンがやむを得ず過酷なノマド生活を強いられてるように見えるんだけど、観ていくうちにこれは彼女自身が選んだ道なんだってことが分かってくる。ノマド集会の仲間達との交流も生き生き描かれて、彼らに悲壮感が全く無いのが印象的。
ファーンが姉との会話で「ノマドこそ元々のアメリカ人の暮らしだ」って言われるのが象徴的で、家を持たないからこそどこにでも行ける自由があるってことなんだね。集会リーダーの「ノマドには本当のサヨナラがない」っていうセリフも心に残る。
ファーンが定住しない生活を送りつつも、夫の死に囚われてエンパイアを離れられないのが皮肉で、彼女の心の解放を象徴するようなラストにジーンと来た。

荒涼とした厳しい大自然が画面いっぱいに広がる映像の美しさが圧倒的で、テレンス・マリックを思わせる。フランシス・マクドーマンドの中性的な風貌が、地味だけど強い意思を持った役にハマってたね。
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