ゆめちん

ノマドランドのゆめちんのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.0
ノマドランド
 
賞レースを賑わしている話題作。アカデミー賞前に鑑賞したかった一本。
 
リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れたネバダ州の住居を追われた60代の女性ファーン。すべてを失った彼女は、キャンピングカーによる車上生活を余儀なくされる。
 
全編にわたりファーンの心に寄り添いながら、雄大な自然とともに、様々な土地で出会うノマドたちとの交流を、フィクションとドキュメントが融合する独特な構成で描いていく。
 
"ホームレスではなくハウスレス" という言葉が印象的。悲しみや喪失感を抱えるノマドたち。出会い、繋がり、別れ、再会を繰り返し、自然と寄り添いながら、同じ境遇の人たちとの交流が心の拠り所で、彼らの "ホーム" になっているのが伝わってくる。
 
格差社会を描いた作品は多いが、格差社会への批判ではなく、あえてこれを受け入れて前を向き、既存の幸せとは別の価値観を見つけようという前向きなメッセージに思え、本テーマが一歩先の段階に進んだ印象を受けた。
 
ファーンを演じたフランシス・マクドーマンドが圧巻の演技。実際のノマドたちの中に溶け込み、違和感なく完璧にノマドになりきっていた。
逆にデイヴを演じたデヴィド・ストラザンは、"演じている感" があって(決して悪くはないのだが)ノマドたちの中に入ると違和感を覚えた。
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