東映オールスターキャストによる「忠臣蔵」を題材にした作品。
いきなりの松の廊下での刃傷シーンで開幕。このシーン以外でも、結構な人数を動員したシーンが多く見られる。相変わらずのあれだけの人数が動く集団劇シーン、本当に圧倒される。
例えば、浅野内匠頭の切腹シーン、シンメトリーの構図で様式美の世界。大規模なセットでのシーンが多く、一々構図が素晴らしくて、ハッとさせられる。
話しのスジそのものは、サクサク進んで行き、適度にチャンバラも挟まれるので、飽きる事なく見ていられる。
萬屋錦之介の大石役、これこそこれまで片岡千恵蔵、市川右太衛門ら"御大"たちの演じてきた"役者の本懐"であり、堂々たる大石内蔵助だった。因みに吉良上野介を演じたのは、あの金子信雄。実は当初、錦之介が吉良、金子信雄が大石と逆のキャスティングがプランニングされていたという。しかし既に「柳生一族の陰謀」の時から深作と錦之介は撮影時に対立しており、折り合う事は無かった。
そんな中、きっと生き生きと撮影が進んでいったのだろうなぁ…と思わされるのが盟友千葉チャン演じる不破数右衛門のシーン。特に討ち入り時の渡瀬恒彦との決闘は凄まじい。渡瀬恒彦メチャ強くて、赤穂浪士をバッサバッサと斬り伏せていく。史実では、手傷こそ負ったものの死んだ人はいなかったのに。この討ち入りシーン、手持ちカメラで追っていく深作ならではのシーンだった。
そして、このようなダイジェスト的な忠臣蔵の場合端折られガチな、討ち入り後の浪士たちの後日談も描かれている。浪士達の遺体遺髪を前にした錦之介の最期の姿こそ、役者としての本懐を遂げた姿なのだと言えよう。
