Bluegene

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「シラノ・ド・ベルジュラック」のBluegeneのレビュー・感想・評価

3.5
この有名な戯曲をロクサーヌの立場から見ると、シラノとクリスチャンがグルになって彼女を騙した話になる。クリスチャンの立場から見ると「教養のない男なんか魅力ない」と自分を全否定するポッシュな女を好きになった男の悲劇になる。シラノの立場から見ると、文武両道で男にはモテモテなのに容姿にコンプレックスを持っているために好きな女に告白できない男の悲劇になる。

結局クリスチャンはロクサーヌが愛しているのは自分ではないと悟って自暴自棄になり、半ば自殺したも同然。そのためにシラノもロクサーヌに真実を告げられず、片想いのままになる。しかしこの演出だと、最後まで隠し通した方がマシだったのにねえ…とか思いました。最後までダメな男、シラノって感じである。

本当の自分を偽って愛する人を騙して、誰も幸せにはなりませんでした。というめっさ後味の悪い話だった…
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